街の痕跡に探している
声を聞いた
今そこへ行くから

品のかけらもない
光る看板と空を覆う
電柱の森で

君は暮らしている

道行く戦車、おもちゃの兵隊
唸る万犬がそこじゅうにいるよ
ヘリの爆音が耳の中を
ひっぱたいてどこかへ消えていった

そろそろ見たいだよ

火薬の匂い、命の匂い
海岸はもう人でいっぱいになっていた
海を渡って向こう岸へ行けるかも
君の手をとった

死にみたいな色の
水面を描いて進む
もう二人の体温さえ伝わらなくて、怖い
空を飛った雲を夕日が染めていくけど
もう泥を吸った綿にしか見えなくって
きれいなものなんか僕らの周りには
何ひとつない

風を引いて熱が出ている
そこの島で少し休んでいこう
浜辺の岩場に君を寝かさ
僕は一人ふらふらと歩いた

夜の闇が来る

いにしえの人たちが空に書いた物語を少しだけど
僕は呼んで聞かせてやった君はもう眠っているのに

沖すぎる宇宙に吸い込まれそうになった
ここは耳をつんざく音もなくて、眠い
帰るところを失った
これから行く場所も知らない
ただただ恐怖と不安の海が続くだけだった

もしこのまま君が目覚めなかったらどうしよう